5月8日。
昨年の渡航に続き、約1年ぶりにカンボジアへ。昨年から継続的に進行中のプロジェクトと合わせて、新しい出会いと可能性を求めて旅立ちました。
今回もシェムリアップからのスタート。
まず最初に訪問したのは現地のフリースクール。この学校を運営するのは20年以上にも渡り、ここカンボジアで恵まれない子供達に教育の機会を与えているドイツ人のペトラ。彼女は訪問したスクール以外にも複数スクールを開き、子どもたちへ学ぶ事の楽しさや重要性を説いています。
目一杯子どもたちと遊んできました。子どもたちに限った話ではないのですが、彼らの目は本当にキレイというか無邪気というか・・現地では個々複雑な環境がありますが、少なくともここの学校に集う子どもたちは純粋で、無邪気で、ちゃんとしたガイドさえあれば健やかに育っていってくれる、そんな子どもたちばかり。
「ここカンボジアでは学べない子ども達がいまだ多くいる。これからもそんな彼らに場所を設けて、触れ合っていきたい」
ペトラ自身も真っ直ぐな瞳でそう答えました。
人生に選択肢がない。これはとても寂しく、厳しい事だと私は思います。自身で切り開く力もない子どもたちにとっては尚更です。でも子どもたちはそんな事を微塵も感じる事なく、真っ直ぐな心を持って生きています。
少なくとも大人たちがそうした彼らをフォローしていく事こそ教育でありペトラの学校は愛と優しさにあふれた学校でした。
Author: modeco
Cambodia Trip 2017
着々と創造される未来
9日(日)は大阪へ。
とあるイベントにお招き頂きゲストスピーカーとして登壇して参りました。
イベント内容は、「地域の人々や素材探しを通して、クリエイティブ産業を生み出す。」
主催者は本村 拓人君。
知り合ったのは今から2〜3年前で、彼自身、株式会社GRANMAの代表として貧困国、貧困層における課題解決を目指し世界各国縦横無尽に走り回るソーシャルビジネスのファシリテーター。彼ほどアクティブな人に未だ出会った事がないですね。本当、熱い人です。
約10時間に渡ってプレゼンテーションとディベートの応酬でしたが、集う人が
皆が本気の方々ばかりだったせいか、あっという間の10時間でした。
皆、本気なんだなぁとしみじみ・・。
私個人としても1つの未来像に向かって走っているつもりですが、皆さんも同様に
誰かの、何かの為に懸命に戦っていて、それが何だか想像以上で、自分を見つめ直す良い機会
でもありましたね。
10年間、ひたすら色んな社会問題に向き合って来ましたが、まだまだ色んな課題がありますね。同時にそれらは全てクリエイションの源泉に成り得るので、翻ってワクワクしてます。
あー、旅に出たい!!
Space Grey
日本の地方にクリエイティブ・インダストリーを創出することを目的とし、Space Gray(許可を求めず人が勝手に物事を進める場所)をいかに地域の中に創造するかを追い求めるクリエイティブグループ。
http://www.spacegray.jp/
株式会社 GRANMA
世界から事業を通じて貧困問題を解決する為に活動する本村拓人の活動団体。
http://granma.asia/jp/
生産→消費→廃棄から生産→消費→再生の時代へ
新年あけましておめでとうございます。2017年も早1週間が過ぎました。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
MODECOも今年で5日を以って7年目を向かえる事になり、まだ7年かーと思う気持ちともう7年かーと思う気持ちで微妙な心中です。今年は今年で大きな変遷に向けて着々と進めている最中で、近日皆様にはそのうちの1つを発表する事になると思います。
さて、新年1発目のブログのタイトルがいきなり堅い内容で申し訳ありません。と言いますのも、昨年末Googleが今年中にオフィス含む電気供給を再生エネルギー100%にするという発表をさり気なくしていました。
https://environment.google/
※専用のホームページ。英語ですが読める方いたら読んでみて下さい・・
日本では環境問題なんて半分以上が対岸の火事程度にしか考えていないと思いますがこうやって着々と知らない間に世界では環境配慮型社会、循環型社会へのシフトは国、企業単位で進んでいるわけです。つまるところ本格的な石油依存の社会からの移行を目指しているわけです。
そしてそれは消費者へも影響し、1つの文化へと進化していくのだと思います。
経済(社会)は生産→消費で成り立っています。経済の発展を考えれば当然この循環が大切です。しかし消費の後、つまり廃棄が見過ごされがちです。これは途上国が良い例で、経済の発展を急ぐあまり、決まって廃棄におけるリスクやコストを見落とします。だからスモーキーマ
ウンテンが出来るのです。
そしてこの廃棄に関しては国や企業の責任でした。
しかしこれからの時代は生産→消費→再生へとシフトすると思います。廃棄ではなく、再生。
これがどの程度のスピードで達成出来るかまでは分かりませんが少なくとも今度は国や企業に任せるだけでなく、消費側でも意識が芽生えてくれればと願ってやみません。
今年もMODECOは“再生”を目指し、ファッションの文脈から様々に提案をしていこうと思います。
香港のTVでMODECOが放映されました
9月に取材して頂いた香港のTV program「関西攻略」が放映されたようです。ベトナム渡航中に連絡が・・国内では一切見られないのですが、香港のディストリビューターからYoutubeのリンクが送られてきました。
最初オファーを頂いた時には関西圏に特化した番組かなーと思いました。
レポーターの彼女はどうやら現地では凄い人気のタレントみたいです。凄いファンキーだったなー。何より今までのTV取材の中で一番の人数じゃないかっていう位の人数で来ましたし。(スタイリストとかも合わせて20人位来たので)
アジア圏のTV取材は中国のCCTV(日本でいうNHKみたいな局)以来。
Chapter 5: Cambodia Trip
あっという間の1週間でした。
初のカンボジア渡航は予想以上の経験が出来ました。そして個人としてもMODECOとしてもここカンボジアに大きな可能性を感じる事が出来ました。
仕事柄、海外とのコミュニケーションも間々ありますが、カンボジアは一際考えさせられる事も多く、今後挑戦したい事も数多く見当たりました。
歴史的な背景は国それぞれあり、また問題や課題も然り、それぞれ持ち合わせます。MODECOはそんな各所課題に真っ直ぐ向き合い、それらを視覚化し、刺激的なデザインを生み出しながらも、それらが子々孫々これからの時代の為に描いています。
ブランド設立時から向き合うアップサイクルは経済発展の裏側に潜む産業廃棄物の存在に可能性をもたらすアプローチで1つのアイデンティティとして作り続けていますが、どうやらカンボジアではそれとは違う新たな挑戦が出来そうな予感がしています。
その挑戦はWoman’s hope groupの様な現地の人達と共に歩みたいと思います。これからこの国から生まれてくるであろうカンボジアンカルチャーの創造・・きっとそれは刺激的な挑戦になるだろうと思います。それが結果としてこの国やこの国に住む人達の為になれば言う事ありません。
そんな想いを胸に現在進行形でWoman’s hope groupとコミュニケーションを取りながらそれぞれの思いを少しずつ形にすべく動いています。
やっぱり新しい挑戦は楽しいなぁ〜〜
僅かながらの期間でしたが、ここ最近の旅の中でも充実した本当に素晴らしい旅でした。
Chapter 4: Cambodia Trip
翌日、再度Woman’s hope groupの元へ。今日からChannyは行商へ出掛けているので、代わりにChendaが対応してくれました。
Chendaにラフ画を元に早速型紙を作成し始めます。驚いたことに彼女の型紙の作成スピードは非常に早く、的確なものでした。
「これは独学で学んだの?」
こう聞くと彼女は答えました。
「2、3年はタイの職人の元で学んでいたけど、そこからは独学よ」
うーん、それにしても見事なスピードと精度・・
海外の連中、といっても無数にいるのであくまでMODECOとして関わった海外の人達に限りますが、彼らと会話したり、彼らの仕事の姿勢を見ていると日本との違いを感じる事が本当に良くあります。
彼らは【目的】を達成する事が最も重要だという事を理解しています。だから形なんかにこだわらないし、出来ない理由を探す事よりも出来る為にどうするかしか考えない。形式論から入りやすい日本との大きな違いです。
Chendaも多分に漏れず、形なんかに囚われません。定規なんかなくても厚紙のヘリを使えば直線は引ける、コンパスなんかなくてもマグカップを使えば円もアールも書ける、机なんかなくても地面が机になる・・物を作る時に大切なのは何よりも「作りたい、作り切るんだ」という強い想いだけ。それを本能で理解し、感情で動く彼らの姿は作り手として純粋そのもの。そして何より楽しんでいる。
日本の環境から見れば機材も器具もないこの場所は、恵まれた環境とは言い難いですし、何を作るにしてもそれを作る為のいわゆる条件が整っていない、と日本であれば多くの場合、そう判断されるでしょう。しかしそんな事はどうでも良い、と言わんばかりに作る事を楽しみ、技術を学び、出来ない事よりも出来る為にポジティブに悩み、機材や器具がなくても出来る事を一生懸命楽しみながら作るその姿は本当に見習うべきものがあると思います。
MODECOのアップサイクルも全く同じだったんですよね。
MODECOを立ち上げるより以前、廃材を触り始めた当初はあらゆる国内の工場や職人に散々断られてきました。だから自分で作れる事を実証し、それを職人に伝えて初めて一歩を踏めたもんです。その後一人の職人との出会いが劇的に変化をもたらしたわけで、当時務めていた営業職を終えた後、夜な夜な試行錯誤して共に作ってきた彼も実は外国人。彼もまた意欲的で、何よりいつでも作る事を楽しんでいた人で今なお尊敬する職人の一人です。
何であれ目的の為に出来る事を楽しみながら実践する、要は積極的な姿勢で臨む事と出来ない事を前提にし、更には挑戦をハナから拒絶する消極的な姿勢で臨むのとでは結果に差がつくのは当たり前。今のところ海外で出会う人達は皆ポジティブで、積極的な連中が多いので本当に
ご縁に感謝です。
Chendaの隣に座って工程を見ながら、時に手伝いながら仕上げていく中でそんな事を思い返していました。彼女もまた挑戦者の一人です。だからこんな彼女達と一緒に何かこれからも挑戦出来たら良いな、と感じていました。今回の制作がその始まりになれば良いなと。
そんな事を考えている間にも作業は進行。無事にサンプルが出来上がりました。正直今回の渡航で何処まで進められるかまでは未知数だったので、ここまで進行出来た事が嬉しかったですし、何より初めて彼女達と作った作品が出来た事に喜びを感じたのを今でもはっきりと覚えています。
Chendaは作業を終えた後にこう言いました。
「初めての事だらけで不安もあったけど楽しかったし、とても良い経験になったわ!」
屈託のない笑顔で答える彼女の言葉を聞き、私も本当に彼女達と一緒に作れて良かったと心の底から思いましたし、何より爛々と輝く眼差しはとても熱く、大きな刺激を受けました。
最後に彼女に聞きました。「今、一番やってみたい事は何?」
するとChendaは笑顔で答えます。
彼女の気持ちは常にこのグループに向いています。本当に真っ直ぐな人です。
「日本に帰った後も必ず連絡するよ」
そう告げて仕上がったサンプルを手に、Woman’s hope groupを後にしました。
日本へ帰国後も彼女達とコミュニケーションを取り続けています。近い将来、彼女達と作り上げた作品がお披露目出来ると思います。お楽しみに・・!
Vol5へ続く
Chapter 3: Cambodia Trip
Woman’s hope groupとの協議が始まりました。自分がカンボジアへ来た理由、何を目指しているのか、どんなモノを作りたいのか・・一生懸命、こちらの思いや意思を伝えました。
Channy(チャニー)も全てを理解し、協力してくれる事になりました。そんな中で、柱の陰からひっそりとこちらをチラチラ見ている女性がいました。
彼女の名前はChend(チェンダ)。彼女は今まで会った人の中でも一際目を輝かせた人でした。どうやら彼女はデザインにとても興味があるらしく、こちらで話している事が気になっていたみたいです。
「こっちにおいでよ」
そう言うと、彼女はニッコリと笑顔で会議に参加。Chendaも交えて皆で会議を進めていきました。
黙々と作業をするChenda。
大体の協議を進めて、実際の制作は翌日からに。Channyは明日から自身のブランドを販売しに行商へ出かけるとの事だったので翌日からはChendaが引き継ぎ、制作を進めていく事になりました。
MODECOも昨年まではポップアップストア(催事)を月に何本も敢行していました。もちろんMODECOを多くの人に知って貰う為、そしてブランド自体の成長の為でした。そしてそこで得られた経験や出会いはかけがえのないものだったと思います。
彼女達も市場に打って出て、まさに挑んでいる大切な時。国は違えど、目指す事は同じです。
「上手くいくと良いね」
そう言うとChannyも「スタッフ達の為にも頑張ってくるわ!」と笑顔で答えその日は解散しました。Woman’s hope groupの工場を離れ、改めて考えていました。
彼女達と作るデザインはどんなものが良いのだろう。
当初の目的は軍服の廃材に新しい意味を見出す事でしたが、どうやら彼女達との出会いでそれ以上にもっと何か出来るような気がしてなりませんでした。そしてふと思いました。
もう少しきちんとカンボジアの文化や歴史を学ばなければ・・
付け焼き刃かもしれませんが、彼女達と制作する上で、彼女達の国の背景を知る事は礼儀だと感じました。これはMODECOの全てのデザインに言える事ですが、モノが飽和した現代社会において無駄なモノは作るべきではありません。資源の無駄に繋がりかねませんし、既に溢れかえっているからです。だから自分自身が作りたいから、という理由なんて言語道断。誤解を恐れずに言えばマーケットが求めているから、という理由も私にはあまり該当しません。
自身の制作欲求でもなく、また市場の消費欲求でもないのに作る理由なんてあるのか。一般的なビジネスではこれ以上の理由は存在しませんが、MODECOの場合は違います。
MODECOが作る理由は「後世に残しておきたいデザインか否か」この1点のみです。おこがましく聞こえるかもしれませんが、作る理由は本当にこれだけです。
この上でMODECOの製品は全て「今後必要なモノ」と感じたモノ以外は原則作っていません。
例えば数々の廃材達。彼らは放っておけば全て「無価値のゴミ」。その多くは私達の目の届かない場所で環境にダメージを与えながら、資源のロスにも繋がっています。
しかしもし彼らにとって「生まれてきた別の理由」が出来たとしたら?もしそれがあったら彼らは決して無駄にならない。それを想像する事こそ、人の創造力の素晴らしさではないでしょうか。
なので、彼女達と共に作る上でも、カンボジアという国をもう少し触れておく必要があると感じ、残りの時間はカンボジアを知る時間に費やしました。この時には既にシェムリアップに立ち寄っており、クメールの歴史が詰まったアンコール遺跡群には一通り触れていましたが、その他の場所で行っておかねばならない場所へ向かう事にしました。
1つは近代史に触れる為にキリングフィールドへ。
そして現在のカンボジアの一端に触れる為にスモーキーマウンテンへ。
過去から近代、そして今。この国がどのような歴史を辿り、彼らがこれから望む事は何か。そして共に出来る事は何か。
明日からはいよいよ制作。宿に戻り、机に向かってデザインを描き始めました。
Vol4へ続く
Chapter 2: Cambodia Trip
Chapter 1でお伝えした通り、軍服の廃材はカンボジアにおいて完全に不要物である事が分かり、これらを何とかする為に早速動き出してみました。
カンボジアでは縫製産業が一定盛んになっているとは聞いていましたが、果たして良いパートナーが見つかるか・・そんな事を考えながらアランヤプラテートからプノンペンへ戻りました。
翌日、朝。何か解決策はないかな〜と考えていた矢先、現地のコーディネーターから
「MODECOだったら気に入ってくれる工場があるからそこへお連れしたい」
と言われて、促されるままにプノンペンのとあるエリアに移動します。一体どんなところですか?と聞くと、是非直接会って確認してみてくれとの事。期待を胸に一路工場のあるエリアまで・・。
裏道を抜けて行くと。
到着すると、周りには性ビジネスの看板が立ち並び、こんなところに工場なんてあるのかなんて事を思いながら案内されるがままに裏路地を歩いていくと、三軒程軒を連ねる小さな家に到着しました。
中に入ると1人の女性が出迎えてくれました。彼女に案内され、中に入っていくとそこにはミシンが数台並ぶ小さな工場がありました。
「なんでわざわざこんなところで工場をやってるんだろう?」
そんな事を思いながら、ある事に気付きました。この工場、よくよく見てみると女性しかいません。
彼女が話し出しました。
「私は「Woman’s hopegroup」の代表のChannyです。私達はカンボジアで性ビジネスでしか生計を立てられない女性達を救う為に、工場を立ち上げブランドを作りカンボジアで運営しています」
ん?
性ビジネスでしか生計を立てられない???
どういう事???
女性達の縫製職人達が働く工場の中。
彼女は続けます。
「カンボジアではまだまだ働き口が少なく、特に女性は安易に性ビジネスに手を染めてしまうケースが多い。私はそんなカンボジアの女性達の新たな雇用を生み出すと同時に、彼女達にとって誇りある仕事にする為に自社でブランドを作りました」
正直、めっちゃくちゃ驚きました。カンボジアでこんな人がいるなんて・・
今思えば凄く失礼な話ですが、勝手ながらに感じていた事として、いわゆる途上国には教育的インフラがなく、ましてやカンボジアはポルポト政権による虐殺によっていわゆる「大人」が少ない国。だから教育が整ってないし、ましてやデザインをするなんて概念もない・・。生きていく為に仕事をする事があっても、自分達の誇りを得る為に仕事をする意識を持つ事なんて、まだまだ先の事だろうと。しかし彼女はまっすぐな目で言いました。
カンボジア人がカンボジアの独自のブランドを立ち上げる。ここカンボジアから。
この意味、多くの方にはあまりピンと来ないかもしれません。しかしこれはとても凄い事だと思います。
代表のChanny。素敵な笑顔が印象的だ。
途上国におけるビジネスの構図は「先進国に守られる」構図が目につきます。事実、ここカンボジアでもイタリア人がデザインを行い、カンボジア人が作るという様なブランドもあります。要は先進国の人間が途上国へ介入するケースがほとんどで、先進国側の人間が出来る事と途上国側の人間が出来る事を棲み分けて展開する事例が多く見受けられます。
これによって何が起きるのか。
「自立」が一向に起きないのです。誰かが作り上げた「価値」に依存し、守られてしまう事で自分達で「価値」を作り上げる事を全くしなくなります。もちろん技術は大きな価値ですしいわゆる技術だけでも価値は成立します。
しかし特にアパレル業界では原則その技術を活かすも殺すも「トータルデザイン」、つまり【最終製品】が重要、というのが私の持論です。
つまりブランドを立ち上げるという事は「自立した最終製品」を生み出そうという事。それをこのカンボジアで、若き女性が立ち上がり挑戦している事を聞いている内に正直胸が詰まる程に大きな感動を覚えました。
「彼女達と一緒にカンボジアの製品を作りたい!」
率直にそう思いました。こうした熱を帯びた人との製作はいつも新たな可能性に繋がりますが、今回は本当単純に彼女達と一緒に作りたいと素直に感じました。
一連の話を伺ったところで、今度はこちらの番。手にした軍服の廃材を元に、こちらの思いを伝えたところ快く受け入れてくれました。そして早速デザインについて、彼女達と協議が始まったのです。
Vol3へ続く
Chapter 1: Cambodia Trip
2016年6月末、先月放送されたNHK WORLD「RISING」のドキュメンタリー撮影も兼ねて、兼ねてから赴きたかったカンボジアへ渡航しました。
事の発端は2年程前に遡ります。私達が普段着ている衣類は不要となると廃棄するか、若しくはリサイクルショップへ持ち込むか、主にこの二択だと思いますが、いずれであれ不要となった衣類を業界用語で「故繊維」と呼びます。日本ではこの故繊維がどのような取り扱いが行われているか、この実態を故繊維業界の企業と繋がり、当時からリサーチしていました。
※詳細はHappenings REPORT 「衣服の末路」をご覧下さい。
https://www.modeco-brand.com/happenings/cloth-fate-of-clothes/
大量の不要となった衣類、「故繊維」達が眠る倉庫。
大量消費、廃棄社会となった事で故繊維そのものの量が増大した影響で私達個人の衣類の廃棄量は増加傾向になります。その故繊維は国内で二次利用がなされない場合、国外へ輸出されています。その輸出先の代表格がカンボジアです。
今回その故繊維が現地でどのような取り扱いを成されているのか、この実態を調査しにいく事と同じ故繊維の中でも特殊な故繊維「各国の軍服の古着」がどうやらカンボジアへ集っている情報をキャッチし、これらの実態を確認し、MODECOとして何が出来るのか確認する事が目的でした。
到着して驚いた事は予想以上に活気にあふれ近代化に向けての発展が感じられる街や人達でした。
ご存知の方も多いと思いますが、近代史においてカンボジアは凄惨な歴史の背景があります。クメール文化など国としての歴史は非常に深い歴史を持ちますが、主にポルポト政権下における当時の施策により、国そのものがリセットされてしまった事で文化も人もゼロからやり直している状態にあり、勝手ながら少しネガティブな空気を予想していました。
ところがそんな思いとは裏腹に人も街も一生懸命。一方で垣間見える緩やかな家族との時間。そんな生活風景は個人的にはとても心地良いものでした。
ドキュメンタリー制作チームとメコン川で。
到着早々、早速故繊維が集うタイとカンボジアの国境地点のポイペトカンボジア)〜アランヤプラテート(タイ)へ向かいました。実際はプノンペンに集まっているのですが、これらが一般向けに売買されている代表的なエリアがこのポイペト〜アランヤプラテートになります。
陸路でポイペトからアランヤプラテートへと国境を越え、実際の市場へ向かいます。
国境付近。
その途中、各国から集まった故繊維を荷馬車で引く人達を見受けられました。1袋あたり100kgを優に超える故繊維が詰まった袋を何袋も積み上げリヤカーで運び込む姿はインフラがまだ行き届いていないここならではの光景と言えます。また陸路を歩く中でストリートチルドレンがお金をねだる光景もここならではと言えるでしょう。経済が今まさに発展途上しているカンボジアの様な国では、こうした光景も珍しくなくないのですが、経済が発展する事で得られる恩恵も多い一方で、豊かになる事で失われていく事もあり、カンボジアではその失われた何かが残っている事を感じる事も出来ます。どちらが良いのか、ベタですが考えさせられるものがあります。
大量の故繊維が運び込まれる。
リヤカーで大量の故繊維を運ぶ。
故繊維を積み上げる。
アランヤプラテートの市場は巨大なアーケードとなっており、あらゆる古着が並んでいました。カンボジアから流れていきた故繊維。それらが詰まった袋から衣服を取り出し、家族で仕分け売る。これを生業としている人々が確かに存在しています。日々私達が着終えた服は確実に彼らの生活の一部となって循環していました。
大量の故繊維を仕分けする。
しかし軍服だけは違います。カンボジアでは軍服古着のファッション的着用が暗に禁止されているのです。特に法や条例があるわけではないようですが、実際に着用した人の逮捕事例もあるようで軍服に対してとても敏感になっているようでした。
ファッションとして流通されない軍服達。
タイへ流通される軍服。
これが歴史的な背景から来る感情論なのか否かは現地の人間でも分からないらしいのですが少なくともカンボジアにとっては軍服古着そのものが不要=廃材であり、タイへ流通せざるを得ない事が理解出来ました。
カンボジアにおいて古着は1つの貴重な産業資源でそれらは確かに生業の1つです。しかしその中でも軍服古着は不要の存在でしかなく、これらの廃材を用いてカンボジアからカンボジアの人達と共に放つ新たなデザインは何か出来ないだろうか。願わくば軍服を拒絶するカンボジアだからこそ発信すべき平和なデザイン・・そんなモノがここカンボジアで描けたらと感じた日でした。Chapter 2に続く。
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Size | W400 (top) / 330 (bottom) x H400 x D100 /mm |
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Materials | シートベルト(ポリエステル) テント生地 |
Color | Black |
Due to the condition of the material (applicable to all bags). please take note that items may not appear similar to the press pictures, in terms of patterns and shade.