産業廃棄物上、最大の廃棄 シートベルトの廃材と向き合う

私が生まれた愛知県は多くの方がご存知の通り自動車産業が盛んで、この産業が基軸となり経済が支えられているといっても過言ではありません。
大量に作られる自動車は様々な資材から作り上げられますが、取り分け搭乗者の命を守る素材となるシートベルトは非常に厳しい基準をクリアして初めて車に搭載されます。




たった1本で命を守るこの素材の耐久性は約2t以上の耐過重性があり、摩擦にも水にも強い最高強度を誇る素材です。だからこそその基準をクリアしなかったモノは例外なく廃棄される上に、膨大な生産の中で端材が生まれ、シートベルトとしての役割を果たせず廃棄される等多くのロスが発生している廃材です。
しかし一方で少しでも耐久基準を甘くすれば、万が一の場合に交通事故による被害に大きな影響が出てしまう為、このシートベルトの廃棄問題もまた難解なのです。
いずれにせよ、あらゆる廃材に触れてきましたが、私が知り得る限りその廃棄量はいかなる廃材をも凌ぐ量であり、「産廃物上、最も多く捨てられている廃棄物」の代表と言えます。そして私の故郷のみならず自動車産業があるエリア、国では漏れ無くこの問題を抱えているものと考えられます。








かねてよりこの問題に着手しようと試みて来ましたが、中々集中的に着手する事が出来ませんでした。目の前には大量に廃棄されるシートベルトがあるのにも関わらず、大体毎年1〜2作品展開するのがせいぜいといったところでした。
理由は簡単で「製造時間が他の素材の倍以上の時間を要する」為です。
シートベルトはその素材1つでは成立しません。幾重にも重ね、縫い合わせていく事で独特の表情を持った1つのパーツとなります。それらを複合的に組み合わせて初めて1つのモデルが形成されます。ここが非常に時間を要するのです。




また車種によって微妙に異なるシートベルトは同じ様に見えて僅かながら「織り目」、「光沢」、「色彩」全てが異なります。廃棄時点ではこれらが混在しており見極めが非常に難しい素材です。そもそも全ての廃材は廃棄によって製造条件、デザイン条件が時折々で変動するのですが、取り分けシートベルトはこの条件を把握するのに時間を要しました。




こうした製作条件を踏まえて、シートベルトの廃材がファッションアイテムとしてどのような役割を果たしていけるのか。
ようやくこれらの精査が終わり、いよいよ「世界最大規模の廃材シートベルト」の廃棄削減に着手します。
より多くの皆様と、より多くの削減に繋がるように。

MODECO 代表 水野 浩行

From New Seat Belt Collection 2016 / 近日発売開始





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