煮え滾るような暑さを迎えた5月のフィリピン。ある日、マニラ西に位置し、世界最古のチャイナタウンがあるBINONDO周辺を訪ねてみた。
陽が燦々と射し始め、排気ガスの臭いのするじめっとした灼熱の午後は、べとべとした熱風が肌にまとわりつき、全身からとめどなく汗があふれてくる。この地域は、慢性的な渋滞、喧噪な雰囲気、衛生面の都合から、外国人や地元の富裕層たちも余り足を運ばないエリアだ。ただ、同時に刺激的で、人間臭く、マニラの深い歴史が垣間見られる数少ない所でもある。
行き交うトライシクルと車、路上で遊ぶ子供達、東南アジアの典型的なカオスを凝縮した街並。不思議な事にその空間は、誰に邪魔にされる事も、何かに急ぐ事も無く、穏やかなに、そしてゆっくりと流れている。
急激な近代化が進む都会に住んでいる中では感じられない、失いたくない下町の”安らぎ”がそこにはある。
Take your time. Feel the street.