気づかずに通り過ぎ、変わり続ける街並。歩いた道、通ったお店、遊んだ公園。様々な思い出や人生が交差した場所達は、時代の変化と共にその形、意味を変え、時にそれらは姿を消し風化していく。子供のとき見た夢がフェードアウェイしていく様に、ただ忘れさられていくだけなのか….?
ミュンヘン在住の写真家Robert Götzfriedは、2014-2015年にかけてアメリカのWashingto DCからMemphisをハイウェイ70で旅した。彼は、その旅路で見た田舎町の古く錆びれ、廃墟となった建物や道の姿を一枚一枚丁寧に切り取り自分の旅行記として記録していった。「アメリカというと華やかなイメージが強かったけど、この写真は”Broken American Dream” (壊れたアメリカの夢)を少し垣間みられるものなったかもしれない。」Robertは、効率性や便利性が求められる現代の働き方や生き方と錆びれた昔の景色を交差させ過去、今、未来の繋がりを捉えた。そこには失われた「何か」があり、見る人それぞれの日常にその「何か」を呼び覚ましてくれる静かな強さがある。
「今と昔では生活の範囲や在り方の多様性が違いすぎる。その中で失われていく街並はある。でも親切な人々、おいしい食事、ブルーグラスミュージックは生きていた。本当に大切なものは無くなっていないのかな。こんなに幸せで楽しい旅は初めだったよ。」
ふと、自分の故郷の街並や、連絡が途絶えた幼少期の友達、昔通った市場のおばちゃんの顔を思い出した。皆どこで何をしているんだろう? 尊い思い出達に気づかずに通り過ぎてきた今の自分を見つめ直す今日この頃だ。