Inspiration Vol. 1:

難民ボートをバックパックにアップサイクル

難民ボートをバックパックにアップサイクル

Upcycled Backpack for Refugee's Onward Journeys


今、エーゲ海の北東部のトルコ沿岸に位置するギリシャ領のレスボス島では、無秩序に廃棄された大量のゴムボートと海岸を埋め尽くすライフジャケットの山が、島の観光を左右させる深刻な社会問題として大きく懸念されています。
ヨーロッパからのバカンス客に人気が高い観光地のレスボス島には、現在、シリアなどからの難民が連日押し寄せています。2015年の欧州難民危機問題発生以来、約60万人の難民が西ヨーロッパへ抜ける為の玄関口として、レスボス島の海岸に上陸しており、彼らが通過した際に発生する大量のゴミが島の社会問題となっている背景があります。
そんな中、難民キャンプでボランティアとして活動するアムステルダム出身のNaglerは、 同郷の仲間であるDidiと共に、捨てられたゴムボートとライフジャケットを有効活用して、低コストで簡単にバッグを作る活動を始めました。
彼女達は、移民問題に取り組むギリシャの団体と島の政府のサポートと理解のもと、”It Works”というプロジェクトを立ちあげ、難民キャンプで入国が許可されるのを待つ難民を中心に バック作りのワークショップを開き、彼らが自らの手でバッグを作り、今後の旅路で使用できる為のサステイナブルな取り組みを始めました。
捨てられたボートとライフジャケットをアップサイクルする試みは、難民問題の中ではあまり慣例のない取り組みの一つではありますが、彼女達の活動は多くの若い難民達を元気づけ、地元の理解を得ながら、新たな難民問題へのアプローチ案として、今注目を浴びています。

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(参考文献目録::DaniellaCheslow記者 “On Lesbos, Dutch Volunteers Teach Migrants To Turn Boats Into Backpacks”)

多くの難民達がレスボス島に到着する。難民の数だけではなくゴムボートの数と廃棄方法にも島は取り組まなければいけない。

ゴムボートは到着次第壊され、ライフジャケットは岸辺を埋め尽くす。

ゴムボートから1枚ずつバッグ用に切り取る。

力はいるが、何度も素材を押しつぶしながらバッグをつくる過程は、子供達にとっても楽しい作業。

イラクのSinjarから来た13歳の難民RaidaMatarは始めての作業に戸惑いながらも、オランダ人ボランティアのNaglerの人としての力強さと魅力に感銘している。

Naglerは多くの難民がこの先の旅路で使用できるバックがない事と浜辺に大量に廃棄されているゴムボートを見てバッグ作ろうとひらめいた。

バッグの作り方を難民達に説明するNagler。

ストラップを装着したら、後はバックルを閉じるだけ。

これからの旅路で使える彼女だけの一品もののバッグが完成。Raidaのような若い難民達によって自分たちで何かを作りやり遂げる事は、難民キャンプでは非常に貴重な体験である。